広く使用される抗癌(がん)薬カペシタビン(商品名:ゼローダ)によって指紋が消失する場合があり、米国をはじめ指紋による身分証明を必要とする国に入国する際に問題となる可能性があると、癌専門医が警告を発した。
医学誌「Annals of Oncology(腫瘍学)」オンライン版に5月26日掲載されたシンガポール国立癌センターEng-Huat Tan博士の報告によると、カペシタビンを使用している62歳の癌患者が、指紋が消えていたために米国入国管理局に4時間拘束される事例があったという。この男性は、最終的には入国できたが、このほかにも、指紋がなくなり入国の際に問題が生じた例が癌患者のブログなどで複数報告されている。
カペシタビンは頭頸部癌、乳癌、胃癌および直腸結腸(大腸)癌の治療に用いられる薬剤だが、手足症候群と呼ばれる副作用があり、手のひらまたは足の裏の慢性的な炎症により皮膚剥離、出血、潰瘍、水疱(すいほう)などが生じることがある。このため、長期的に使用すると指紋が薄くなる可能性があるとTan氏は説明している。
「カペシタビンの使用により指紋の消失が始まる時期は明確にわかっていないが、今回の事例のような患者が増えている可能性がある」とTan氏は述べ、カペシタビンを使用する患者が旅行するときは医師の手紙を携帯することを勧めている。Tan氏の患者も、その後、医師の手紙を持って再度旅行した際には移民局でほとんど問題は生じなかったとのこと。
原文
[2009年5月27日/HealthDay News]
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