インターネットで勃起不全(ED)治療薬をはじめとする処方薬を購入することは、命を賭けたロシアンルーレットのようなものであるとの論議が、医学誌「International Journal of Clinical Practice(クリニカルプラクティス)」1月号に掲載された。このような薬はよく見積もっても何も効果がなく、最悪の場合は死をもたらすという。
ネットでの模造薬(counterfeit drug)販売は急増しており、ヨーロッパでは2005年から2007年までに模造薬の押収が4倍となっているほか、米国食品医薬品局(FDA)による捜査件数は2000年から2006年までに8倍に増加している。その売上は5年間でほぼ2倍となっており、2010年には750億ドル(約6,800億円)にも上るとされている。ヨーロッパでは250万人の男性がシルデナフィル(商品名:バイアグラ)の模造薬を購入したことがあるという。
米国泌尿器科学会(AUA)のIra D. Sharlip博士は「問題を避ける唯一の方法は、インターネットで購入しないこと」と述べる。ネットで販売される模造薬は必ずしも本物より安価なわけではないが、ネット購入の動機となるのはその匿名性であるという。薬局でバイアグラの処方を受けたり、医師にEDについて相談したりすることに羞恥(しゅうち)心を感じる男性もいるとSharlip氏は述べている。
問題はED治療薬にとどまらず、貧血治療のため偽の鉄製剤の注射を受けた妊婦2人が死亡した例や、バングラデシュでジエチレングリコール(車の不凍液として用いられる)の混入したパラセタモール(アセトアミノフェン)シロップ薬を服用した小児51人が死亡した例もある。研究著者である英ロンドンブリッジ病院のGraham Jackson博士によると、「模造薬には何が入っているかわからない。ただのタルカムパウダーというものもあれば、無関係の化学物質が含まれているものもある」という。2008年には、シンガポールで血糖降下薬の混入したED治療薬を飲んだ男性4人が死亡している。
医師を介さないことも問題であり、EDの根底にある心疾患や糖尿病などの重大な疾患を見落とす可能性もあると専門家は述べている。さらに、購入した薬剤が本当にED治療薬の有効成分であるPDE5阻害薬を含んでいたとしても、心臓に障害のある人が使用すると心イベントリスクが増大することもある。
今回の論文は、1995〜2009年に英国、米国およびスウェーデンの研究者らが実施した50件強の研究を対象に検討したもの。著者のJackson氏は同誌の編集者で、バイアグラを製造するファイザー社をはじめ複数の製薬会社と提携関係にあることを明らかにしている。
原文
[2010年1月29日/HealthDay News]
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