現在、世界的に広がりつつある新型インフルエンザ(ブタswine由来インフルエンザA/H1N1)の起源について、研究者らの間では未だ謎となっている。米医学誌「New England Journal of Medicine」オンライン版に5月7日掲載された米国疾病管理予防センター(CDC)の研究によると、今回のH1N1型ウイルスに類似するいわゆる「トリプル合併結合変異(triple-reassortant)ウイルス」(鳥、ブタ、ヒトのインフルエンザウイルスの遺伝子を含む)の感染は、2005年以降11例が記録されているという。
今回のウイルスでは、遺伝子8本(RNA)のうち6本はすで知られている米国のブタに感染するものに類似しているが、残り2本はこれまで米国で確認されていなかったユーラシア系統のものであると、CDC国立予防接種・呼吸器疾患センター(NCIRD)のMichael Shaw氏は述べている。ブタは米国からヨーロッパおよびアジアに輸出されることがあるが、その逆はないという。当局は、調査に欠陥があった可能性もあるとみて、保管された記録や標本を再検討している。
記録のある11症例のうち2例を除いてはいずれもブタに直接または間接的に接触した人が感染しているが、ほかにもヒトからヒトへの感染が疑われる患者がいたという。患者は主に若年者(平均10歳)であり、4例は入院を要し、2例は人工呼吸器が必要であった。4例が抗ウイルス薬タミフル(一般名:オセルタミビル)の投与を受け、最終的には全例が回復した。このタイプのインフルエンザは最近になって11例中8例が2007年6月以降に報告されたものだが、これ以外にも特定されていない症例があった可能性もあると研究チームは述べている。
今回のウイルスがこれまでと異なるのは、(ヒトからヒトへ)持続的に伝播する点だとShaw氏はいう。この理由は未だ不明で、今後も新しいインフルエンザウイルスが発生するだろうと専門家は述べている。Shaw氏によると、今回の新型インフルエンザ株も、季節性インフルエンザ(H1N1)株も、すべて1918年のスペイン風邪を引き起こしたウイルスにさかのぼることができ、いずれも異なる経路で進化してきているという。
もう1つ興味深い点は、今回の新型インフルエンザでは症例の約38%に、季節性インフルエンザには通常みられない嘔吐と下痢がみられることである。これについても理由は明らかにされていないが、このウイルスが従来の呼吸器のほかに消化管を通じても伝播(でんぱ)する可能性があることを認識しておく必要があると専門家は述べている。
原文
[2009年5月8日/HealthDay News]
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