長期ヘロイン依存症患者に「医療用ヘロインmedical heroin」を投与すると、通常治療で用いられるmethadoneメタドン(日本国内未承認)を投与するよりも長く治療を維持できるほか、違法行為の発生率を減少できることがカナダの研究で判明し、米医学誌「New England Journal of Medicine」8月20日号に掲載された。
「(医療用ヘロインを)使用しなければ、治療の困難な患者はストリートドラッグに手を出し、薬物の過剰摂取、HIVおよび違法行為などの危険に身をさらすことになる可能性が高い」と、研究著者であるブリティッシュ・コロンビア大学(バンクーバー)教授のMartin Schechter博士は述べている。そのような患者の安全を確保しながら診察を受けさせることができれば、危険な生活から脱出させることができると同氏は指摘する。また、この治療法はほかの方法よりも費用がはるかに安く、医療コストを大幅に削減することができるという。
北米ではオピオイド依存症患者が100万人にも上り、その大部分がヘロイン依存症である。治療に用いられる標準的な薬剤はmethadoneであるが、約15〜25%の患者にはmethadoneが奏効しないという。ヨーロッパの一部の国では、他の治療が効かない患者を対象に医療用ヘロイン(ジアセチルモルヒネ)注射の利用を検討する研究が実施されており、英国では治療の最終手段として医療用ヘロインの利用が推奨されている。
今回の研究は、オピオイドの使用歴が5年以上で、現在毎日オピオイドを注射している25歳以上の251人を対象としたもの。111人を経口methadone群、115人を医療用ヘロイン注射群、25人を医療用ヘロインに似た作用をもつ麻酔薬hydromorphoneヒドロモルフォン(商品名:Dilaudidジラウジッド)注射群に無作為に割り付けた。その結果、研究を維持できたのは医療用ヘロイン群で88%、methadone群では54%。薬物使用などの違法行為の減少率は、医療用ヘロイン群で67%、methadone群で48%であった。ただし、過剰摂取や発作のリスクがあるため、医療用ヘロインは迅速な措置が可能な状況に限って使用するべきであると著者らは述べている。
全体的にみてこの方法は検討に値するものだとSchechter氏はいう。米国では医療用ヘロインの依存症治療への使用が認可される可能性は低いが、今回の研究では、米国ですでに承認されているhydromorphoneにも同様の利点があることが判明した。別の専門家はこの治療法について「街角での薬物取引を撲滅し、地域社会にもよい影響を及ぼす可能性がある」と述べるとともに、methadoneに代わる治療法の必要性を強調している。
原文
[2009年8月19日/HealthDay News]
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